前回
「ただいまー」
「ん、おかえり」
「あ!いい匂い〜」
「ごはん、出来てるよ」
人気者で色々と忙しい彼女を私は夕飯の準備をして待つ
これもいつも通りだ
いつも通りの日常だったはずなのに……
「もう寝よっか」
珍しく早い時間に寝ようとする彼女
とは言え時計はもう23時を回ろうとしている
ベッドの上で寝る前のSNS確認をする彼女
風呂上がりでふわふわの髪の毛からほんのりシャンプーの香りが漂う
辺りが暗闇に包まれる中、1箇所だけハッキリ見える……
窓からこぼれる月明かりに照らされて、彼女の艶やかな顔がより一層引き立つ
何故だろう……いつもよりも色っぽく見える
「んっ……」
そんな彼女に気がつけば手を伸ばしていた
「あっ」
「……綾ちゃんならいいよ」
そんなつもりではなかった
ただ綺麗な彼女の横顔に少し魔が差しただけだったのに
もう戻れなくなっていた
彼女の横髪に手を差し込み耳に手を触れる
「/////」
手のひらにはやわらかい触感
手の甲にはふわふわした触感
今まで我慢していたけれど、ふわふわしたものが大好きな私にはこの上ない至福の時間
手の位置を少しスライドさせて彼女の毛先に触れる
表情にお似合いな優しい肌触り
そっと顔を近づける
口元に柔らかな感触を感じる
「/////」
「/////」
目が覚めると目の前には彼女の顔
こちらが起きたことに気が付き、ニコっと笑う彼女
窓から差し込む朝日に照らされて天使のようなほほえみだ
だがすぐに天使は悪魔の顔に変身し
「昨日のお返しです」
彼女が顔を近づけ唇が触れ合う
「……もう 行かないと」
「そうだね……」
そう呟く彼女はとても寂しそうな表情を浮かべる
「今日の夜もいいかな?」
「…………うん」
1度知ってしまったらもう戻れない……
ベッドの上には風呂上がりの彼女
昨日と同じ光景だ
ただ、2人を包み込む雰囲気は昨日のそれとは異なる
「続き、しよっか」
窓が少し空いており、そこから風が吹き込んでいる
白いカーテンがひらひら風で揺れている
窓の隙間からは綺麗な満月がよく見える
2人のこれからを祝福するように